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Shell Pilipinas(SHLPH)をIPOで買って9年保有した結果|67PHPが9PHPになるまで

2016年のIPOでSHLPHを10,000株取得。一部を10%プラスで売却したものの、残り3,000株は現在67PHPから9PHPへ87%下落。PSEi入り候補として注目された銘柄の現実を記録する。

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なぜShell PilipinasのIPOに申し込んだのか、今振り返ると理由は二つある。一つはShellというブランドへの信頼だ。マカティに住んでいた7年間、ガソリンスタンドはいつもShellを使っていた。もう一つは、当時フィリピン最大級のIPOとして話題になっていたこと。大きなIPOに乗り遅れたくないという気持ちがあった。今思えば、それだけの理由で10,000株申し込んでいた。

IPO後の株価についてはあまりこまめに確認していなかった。気づいたら大きく下がっていた、というのが正直なところだ。途中で売ろうかと迷ったこともあったが、結局タイミングを逃した。

Shell Pilipinas(SHLPH)IPO参加から現在まで

2016年11月4日、Shell Pilipinas Corporation(旧:Pilipinas Shell Petroleum Corporation、ティッカー:SHLPH)がPSE(フィリピン証券取引所)に上場した。IPO価格は67.00PHP、上場初値は67.20PHPとほぼ公募価格通りのスタートだった。

Shell Pilipinasとはどんな会社か

Shell Pilipinasの歴史は1914年まで遡る。フィリピン最古の石油会社の一つであり、100年以上にわたってフィリピンのエネルギーインフラを支えてきた企業だ。親会社はShell Overseas Investments B.V.で、オランダに本社を置くShellグループの傘下に位置する。

事業の主軸はガソリン・ディーゼル・航空燃料・潤滑油・ビチューメン(アスファルト原料)の精製と販売だ。フィリピン全土にShellのガソリンスタンドを展開しており、長年にわたってフィリピン国内で高い認知度を持つ石油ブランドとして定着している。スタンドには「Shell Select」というコンビニエンスストアや「Deli2go」というデリカテッセン業態も多くの店舗に併設されており、燃料販売以外の収益源も持つ。近年ではEV充電サービスも順次展開を進めており、電動化社会へのシフトを見据えた事業変革にも取り組んでいる。

2023年には社名をPilipinas Shell Petroleum CorporationからShell Pilipinas Corporationに変更した。日本語でいえば「フィリピンのシェル石油」から「シェル・フィリピナス」へという変化で、企業としての方向性を整理する意図があったとみられる。上場時のティッカー「SHLPH」は変わらず使われているが、正式名称は現在Shell Pilipinas Corporationとなっている。

IPO時の注目度

当時、SHLPHはいくつかの理由で注目を集めていた。石油精製・販売という事業の安定性に加え、「PSEi(フィリピン株価指数)入り候補」として名前が挙がっており、75%以上の配当性向という方針も話題になっていた。当時のフィリピンはASEAN有数の高成長経済として認知され始めており、中間層の拡大とともに自動車保有率も上がり、エネルギー需要が伸び続けるという見通しが広く共有されていた。

シェルというグローバルブランドの認知度、100年超の歴史を持つ事業基盤、高い配当性向という三つの要素が重なり、個人投資家の関心を集めていた。PSEi入りが実現すれば、インデックスに連動して買われる需要も加わるという期待もあった。BPI Tradeで口座を持っていた自分は、こうした情報を踏まえてこの銘柄に10,000株を申し込んだ。結果として全株当選した。

2016年のIPO申し込みの流れ

申し込みはBPI Tradeのオンラインシステムから行った。PSEのIPOにはLSI(Local Small Investor)プログラムという制度があり、小口の個人投資家に優先的に株式が配分される仕組みになっている。BPI TradeはこのLSIプログラムに対応しており、口座を持っていればオンラインから申し込みが完結する。

申し込みの手順としては、BPI Tradeにログインした後、IPO申し込み画面から銘柄・希望株数を入力し、必要資金の確認を経て申し込みを確定する形だ。申し込み資金は口座から事前に拘束され、配分結果に応じて精算される。10,000株に申し込んで全株を取得できた。

当時、PSEのIPOに個人として参加できる口座の選択肢は今ほど多くなく、BPI Tradeはその中で使いやすい選択肢の一つだった。手続きのオンライン化が進んでいたこともあり、窓口に足を運ばずに申し込みが完了した。IPO申し込みのシステムはシンプルで、画面の指示に従って操作すれば特に迷う場面はなかった。全株当選という結果になったが、大型IPOで完全当選できるのは当時のLSIプログラムの仕組み上、珍しいことではなかった。

IPO後の株価推移

時期 株価 内容
2016年11月4日 67.00PHP 上場、初値67.20PHP
2017年2月21日 80.00PHP 最高値
2025年5月 4.70PHP 最安値
2026年5月 約9PHP 現在

上場翌年の2017年2月に80PHPの高値をつけた。IPO価格から約19%上昇した水準で、当時は追加購入を検討してもよかったかもしれない局面だった。しかしその後は長期的な下落トレンドに入った。

下落の背景には複数の要因が重なったとみられる。国際原油価格の変動による精製マージンへの影響、電気自動車普及への懸念、石油需要の長期的な縮小見通しといった問題が積み重なった。フィリピン国内で急激にEVが普及したわけではないが、世界的なエネルギートランジションの流れが石油会社全般の株価評価を下げる方向に働いた。

明確な転換点があったわけでもなく、気づけば株価は一桁台へと落ちていた。2025年には最安値4.70PHPをつけ、IPO価格の約93%が失われた水準となった。その後やや回復し、2026年5月時点では9PHP前後で推移している。

部分売却の判断を振り返る

上場後、株価はじりじりと上昇した。IPO価格から約10%ほど上昇したタイミングで7,000株を売却した。正確な売却価格は記憶にないが、73〜74PHP前後だったと思われる。売却益は概算で約42,000PHP。当時は「うまく利益確定できた」と感じていた。

残り3,000株をホールドし続けた理由は、振り返ると明確ではない。「まだ上昇余地がある」という期待があったことは確かだ。配当性向75%以上という方針があったことも、「持っていれば配当が入ってくる」という感覚につながっていた。実際にしばらくの間は配当を受け取り続けており、「元本は減っても配当でカバーできる」という考えがホールドを続ける心理的な理由になっていた。

積極的にホールドを選んだというより、売るタイミングを判断できないまま持ち続けたというのが実態に近い。株価が下がっても「いつか戻るだろう」という思いがあり、損失を確定させることへの心理的な抵抗感も働いた。これはどの銘柄にも共通する、典型的な保有継続の心理だったと思う。

仮に7,000株の売却時に残り3,000株も同時に全額売却していたとすれば、10,000株すべてを73〜74PHP前後で売却でき、トータルで約60,000〜70,000PHPの利益を得られた計算になる。実際には残り3,000株の価値が現在9PHPにまで下落しているため、その差は大きい。

損益の整理

項目 数量 単価 金額
取得(IPO) 10,000株 67.00PHP 670,000PHP
売却(一部) 7,000株 約73PHP 約511,000PHP
売却益(7,000株分) 約+42,000PHP
残保有評価額 3,000株 約9PHP 約27,000PHP
残保有損失(3,000株分) 約−174,000PHP
トータル損益 約−132,000PHP

売却益と残保有損失を合算すると、取得からのトータルは約−132,000PHPのマイナスとなる。

現在の状況(2026年5月時点)

保有している3,000株の現在株価は9PHP前後。取得価格(IPO価格)ベースで計算すると、元本約201,000PHPに対して現在の評価額は約27,000PHP、約174,000PHPのマイナスとなる。

7,000株の売却益(約42,000PHP)と差し引きすると、トータルでは約132,000PHPのマイナスという計算になる。

IPO価格の67PHPから現在の9PHP台への下落率は、約87%に相当する。

振り返って

部分売却によって損失がある程度抑えられたのは事実だ。ただ、あのとき全株を売却していればという気持ちがまったくないとはいえない。一方で、売却当時に将来の株価がここまで下落すると予測することは難しかっただろうとも思う。株価が10%上昇したタイミングで7,000株を売った判断は、後から見ると早すぎたとも遅すぎたとも言える。正解は常に後からしかわからない。

SHLPHはシェルブランドの認知度があり、上場時のストーリーも整っていた。100年以上の歴史を持つ企業であり、配当性向も高く、PSEi入り候補として語られていた。事業の安定性という観点から見ても、簡単に崩れる銘柄には見えなかった。しかし長期的なエネルギートランジションの流れは、石油会社の株価評価に構造的な影響を与え続けた。

個別銘柄の事業内容だけでなく、業界全体が直面する長期的な変化を見越して判断することの難しさを、この銘柄を通じて実感している。IPO投資と長期保有の難しさを改めて記録として残しておく。

フィリピン株式市場(PSE)における個別株への長期投資は、流動性の低さという問題を常に伴う。売りたいタイミングで売れない、適切な価格で売り手と買い手がマッチしないという状況は、PSEでは珍しくない。SHLPHはPSEの中では比較的流動性が高い銘柄に属するが、それでも東証やニューヨーク証券取引所と比べれば取引量は薄い。

保有を続けることで得られた経験もある。フィリピン株式市場の仕組み、IPO参加の手順、長期保有の心理的な変化、売却判断の難しさ。これらは実際に投資して保有し続けることでしか得られない知識だ。損失が出ているからといって、その経験の価値がゼロになるわけではない。ただ、同じ判断ミスを繰り返さないために、こうして記録として残しておくことには意味があると思っている。

現在も3,000株の保有を続けているが、今後どうするかの判断はまだついていない。PSEiに占める石油セクターの位置づけが変わりつつある中で、SHLPHという銘柄がどこに向かうかを見定める段階にある。売るにしても持ち続けるにしても、次に同様の局面で判断を迫られたときに、今回の経験が何らかの参考になることを期待して記録する。


※本記事は個人の投資体験の記録です。数字はすべて概算であり、正確性を保証するものではありません。投資は自己責任でお願いします。

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