マカティに7年いる間に、3軒のコンドミニアムを渡り歩いた。引っ越しの理由は毎回だいたい同じで、家賃の値上げだった。フィリピンでは契約更新のタイミングで家賃が大幅に上がることが珍しくない。「更新するなら月○○ペソ上げる」と言われ、交渉しても折り合わず引っ越す、というパターンを繰り返した。毎回の引っ越しは手間だったが、結果的にいくつかのエリアを住み比べることができた。
マカティのコンドミニアム賃貸事情|7年間で3軒住んだ実体験
はじめに
この記事では、筆者がマカティに駐在員として住んでいた7年間(2013〜2020年)に3軒のコンドミニアムを渡り歩いた実体験を書く。コンドの探し方・エリアの違い・賃貸料値上げへの対処法など、実際に経験したことをそのまま記録する。
7年間の住まいの変遷
1軒目:サルセドビレッジのロフトタイプ
最初に住んだのは、友人が所有するサルセドビレッジのロフトタイプのコンドだ。サルセドビレッジはマカティCBD(中心業務地区)に隣接したエリアで、日系企業のオフィスが集まるマカティのビジネス中心部に近く、駐在員・外国人に長年人気のエリアだ。グリーンベルト周辺のレガスピビレッジと並んで、外国人が多く住む地区として知られている。
ロフトタイプは天井が高く、開放感がある間取りだ。フィリピンのコンドミニアムとしては比較的珍しいタイプで、空間を立体的に使えるのが特徴になっている。友人が所有する物件に格安または無償に近い形で住まわせてもらっていた時期で、物件探しのコストをかけずに住み始められた。サルセドビレッジに住んでいた期間は在住初期の一定期間で、その後生活環境の利便性を求めてレガスピビレッジへ移った。
2軒目:レガスピビレッジのスタジオタイプ
レガスピビレッジに移った理由は生活利便性だ。グリーンベルト(大型ショッピングモール)に近く、飲食店やカフェが充実しており、週末のレガスピパークのマーケットが気軽に利用できる環境だった。サルセドビレッジと比べて食事・買い物・外食の選択肢が豊富で、日常生活の質が上がった。
物件の探し方はこのとき不動産エージェントを利用した。エージェントを使うと複数の物件を効率よく比較できる。手数料は一般的に家賃1ヶ月分程度が相場で、物件の内見・交渉・契約書の確認まで対応してもらえる。英語での交渉に問題がなければ、選択肢が広がるというメリットがある。
このコンドは間取りはスタジオタイプで、セキュリティ体制がしっかりしており、管理状態も前の物件より良かった。問題が生じたのは契約更新のタイミングだった。
3軒目:同じレガスピビレッジの別のスタジオ
2軒目から3軒目に移った理由は賃貸料の大幅値上げだ。契約更新時に約1.5倍の値上げを提示された。フィリピンでは契約更新時の大幅値上げは珍しくなく、特に外国人の借り手に対しては強気な値上げが来ることがある。
このときはコンド専門の個人仲介者経由で新しい物件を契約した。エージェント会社ではなく個人の仲介者で、特定のコンドビルに詳しい人物だった。知人の紹介で繋がった人物で、きめ細かい対応をしてもらえた。
3軒目のオーナーは日本人夫・フィリピン人妻という組み合わせで、当初は「日本人オーナーだから融通がきくかもしれない」と期待していた。しかし実際の交渉窓口はフィリピン人の奥さんで、「日本人=お金持ち」という認識から何かにつけて追加請求してくることが多く、融通もほとんど利かなかった。オーナーの国籍よりも、実際の交渉窓口が誰かを確認することが重要だと学んだ。
コンドの探し方:3つの方法
1. 友人・知人経由
最もリスクが低い方法だ。物件の状態やオーナーの人柄を事前に把握できる。1軒目の経験がこれで、住み始めるまでの手続きがシンプルだった。ただし選択肢が限られるため、条件に合う物件があるかどうかは運による部分も大きい。
2. 不動産エージェント経由
複数の物件を効率よく比較できる。手数料は家賃1ヶ月分程度が相場。大手エージェントは英語対応も充実しており、外国人でも利用しやすい。現在はOLX・Lamudi・PropertyGuruといったオンライン不動産サイトが主流で、物件の写真や概要をまず自分で確認してからエージェントに連絡するという流れが一般的になっている。
外国人が借りる際の注意点として、保証金(デポジット)は通常家賃2〜3ヶ月分が求められる。契約書の内容を必ず確認することが重要で、特に値上げに関する条項・退去時の費用負担・設備修繕の責任分担は細かく確認しておくべきだ。英語に自信がない場合は、英語ができる日本人の同僚・友人に同行してもらうか、日本語対応の不動産エージェントを探す選択肢もある。
3. 個人仲介者経由
特定のコンドビルに詳しい個人仲介者に依頼する方法だ。きめ細かい対応が期待でき、エージェント会社では扱っていない物件情報が得られることもある。知人の紹介などで見つかることが多く、最初から探すのは難しいが、人脈を通じて繋がれると選択肢が広がる。
マカティのエリア別特徴
サルセドビレッジ
ビジネス街に近く通勤に便利なエリアだ。日系企業のオフィスが多いマカティCBDに徒歩圏内で、比較的落ち着いた雰囲気がある。グリーンベルトからは少し離れるが、土日のサルセドパークのマーケットは地元の外国人コミュニティに人気だ。
レガスピビレッジ
グリーンベルト(大型モール)が近く、飲食店・カフェが充実している。週末はレガスピパークのマーケットが賑わい、外国人駐在員が多く住む人気エリアだ。筆者が7年のうち大半を過ごしたのもこのエリアで、生活の利便性はマカティ内で最も高かった。
BGC(ボニファシオグローバルシティ)
マカティの隣のタギッグ市にある最も新しく発展したエリアだ。高級コンドが多く家賃は高めで、マカティより治安が良いと言われる。生活環境の良さでBGCを選ぶ人も多いが、マカティとの往来に渋滞が伴う点は注意が必要だ。
マカティのコンド賃貸相場(2013〜2020年当時)
| タイプ | 月額家賃 |
|---|---|
| スタジオ | 3〜5万ペソ |
| 1LDK | 5〜8万ペソ |
| 2LDK | 8〜15万ペソ |
| 高級物件 | 15万ペソ以上 |
在住期間中に家賃相場は緩やかに上昇していた。フィリピン経済の成長と外国人需要の高まりが背景にある。特にレガスピビレッジ・BGCエリアは需要が高く、値上がりが続いていた時期があった。
賃貸料値上げへの対処法
フィリピンでは契約更新時に大幅な賃貸料値上げがあることがある。2軒目の契約更新時に約1.5倍の値上げを提示されたのが筆者の経験だ。
対処法としては、まず値上げ幅について交渉することだ。受け入れられない場合は別の物件を探す。次の物件探しは余裕を持って早めに始め、個人仲介者や知人ネットワークを活用して選択肢を広げておくことが重要だ。
英語力は必須・オーナーの国籍に注意
コンド探しから契約・交渉まですべて英語でのやり取りになる。契約書の内容を理解せずにサインするのは非常にリスクが高い。英語に自信がない方は英語ができる日本人の同僚・友人に同行してもらうか、日本語対応の不動産エージェントを探す方が良い。
オーナーの国籍については、「日本人オーナーだから安心」は思い込みだった。3軒目の経験が典型で、実際の交渉窓口はフィリピン人の奥さんで、日本人という共通点は交渉の有利さにつながらなかった。内見時に実際のオーナーや管理担当者と直接話してみることをおすすめする。
7年住んで感じたこと
良かった点
マカティのコンド生活で良かった点は、日本より部屋が広いこと、セキュリティが充実していること、グリーンベルト周辺の生活利便性の高さだ。7年間を通じて外国人として不自由なく生活できた。レガスピビレッジに住んでからは、食事・買い物・週末の過ごし方において満足度が高かった。
気になった点
水圧が弱い物件があること、管理状態が日本より雑なことがある点、停電が起きることがある点、そして契約更新時の大幅値上げリスクはどの物件でも意識しておく必要があった。
購入ではなく賃貸を選び続けた理由
7年間一度もコンドミニアムを購入しなかった理由は、品質・市場の流動性・エージェントの情報の薄さへの懸念だ。その詳細はコンドミニアム購入を検討してやめた記事に書いている。賃貸を選び続けることで居住地の柔軟性を保ちながら生活できたことは、7年間を振り返って良かった判断だと感じている。
まとめ
マカティでのコンド探しはエリア選びが最重要だ。筆者のおすすめはグリーンベルトに近いレガスピビレッジで、飲食店・モールへのアクセスが良く、生活の質が上がる。契約更新時の値上げリスクに備えて、個人仲介者や知人ネットワークを日頃から作っておくことをおすすめする。
※この記事は2013〜2020年の体験をもとにしています。現在の家賃相場・物件情報は大きく変わっている可能性があります。最新情報は現地の不動産業者にご確認ください。