フィリピン株・UITF、10年以上投資した結果を正直に公開
はじめに
含み損を抱えたまま、淡々と数字を開示します。
マカティに7年駐在し、フィリピンの金融口座を開設し、UITFと個別株に10年以上資金を投じてきました。その結果は、お世辞にも良いとは言えません。ただ、隠してもしかたがないので、数字をそのまま出します。誰かの参考になれば、それで十分です。
1. なぜフィリピンに投資したのか
きっかけは単純です。マカティに駐在していたので、現地の銀行口座があり、現地の給与の一部がペソで手元にありました。
「どうせペソが余るなら、フィリピン市場に投資してみよう」という発想です。当時(2010年代前半)のフィリピン経済は好調で、PSEi(フィリピン株価指数)は2012〜2013年にかけて大きく上昇していました。新興国の成長に乗る、という文脈でも語られていた時期です。
在住しているからこそ、現地の空気感、経済の実感、企業の名前がわかる。そういう優位性があると思っていました。
結論から言うと、その優位性は幻想でした。
2. 投資した内容
BPI Philippine Equity Index Fund(UITF)
BPIのオンラインバンキングから積み立てた、フィリピン株式インデックスに連動するUITFです。
2014年から2020年まで、毎月5万PHPを給与口座から自動積立。帰国後は積立を停止し、現在もホールドして保有継続中。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 元本 | 約466万PHP(約1,235万円) |
| 現在評価額 | 約393万PHP(約1,042万円) |
| 含み損 | 約▲73万PHP(約▲193万円) |
| 損益率 | 約▲15.7% |
6年間、毎月コツコツ積み立てたインデックスファンドが、マイナスです。
BPI Trade 個別株3銘柄
IPO時に取得した3銘柄です。
| 銘柄 | 企業名 | 元本(PHP) | 現在評価額(PHP) | 含み損(PHP) | 損益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| CHP | セメックス・ホールディングス・フィリピン | 107,500 | 9,500 | ▲98,000 | ▲91% |
| MRSGI | メトロリテール・ストアズ・グループ | 79,800 | 23,200 | ▲56,600 | ▲71% |
| SHLPH | シェル・フィリピン | 201,000 | 27,000 | ▲174,000 | ▲87% |
| 合計 | 388,300PHP | 59,700PHP | ▲328,600PHP | ▲85% |
※SHLPHはIPO時10,000株取得、7,000株を約+10%で売却済み。本表は残存3,000株のみ。
3銘柄とも、IPO時に購入したままホールド。その後の下落幅は凄まじく、現在は元本の15%程度しか残っていません。
3. 1年間の評価額推移(月次)
直近1年間のUITF評価額の推移です(概算)。
| 月 | UITF評価額(PHP) | 日本円換算(2.65円/PHP) |
|---|---|---|
| 2025年4月 | 420万 | 約1,113万円 |
| 2025年5月 | 415万 | 約1,100万円 |
| 2025年6月 | 408万 | 約1,081万円 |
| 2025年7月 | 401万 | 約1,063万円 |
| 2025年8月 | 410万 | 約1,087万円 |
| 2025年9月 | 405万 | 約1,073万円 |
| 2025年10月 | 398万 | 約1,055万円 |
| 2025年11月 | 395万 | 約1,047万円 |
| 2025年12月 | 400万 | 約1,060万円 |
| 2026年1月 | 396万 | 約1,049万円 |
| 2026年2月 | 390万 | 約1,034万円 |
| 2026年3月 | 393万 | 約1,042万円 |
上がったかと思えば下がる。下がったかと思えば少し戻る。方向感のないまま、1年が過ぎました。
4. なぜこうなったのか
正直に分析します。
PSE全体の低迷
フィリピンの株式市場(PSE)は、2018年ごろをピークに長期低迷が続いています。外国人投資家の資金流出、金利上昇、インフレ、政治リスク。これらが重なり、PSEiは2013年のピークを更新できていない状況が続いています。UITFのマイナスは、市場全体の問題です。
IPO後の株価低迷
個別株の3銘柄は、いずれもIPO時に購入しました。IPOに飛びつく、という典型的な失敗です。
- CHP(セメックス):建設資材メーカー。フィリピンのインフラ需要を期待したが、競争激化と需要鈍化で低迷。
- MRSGI(メトロリテール):地方スーパーチェーン。ビサヤ・ミンダナオでの展開を期待したが、SM・ロビンソンズとの競争に苦しむ。
- SHLPH(シェル・フィリピン):石油メジャーのフィリピン法人。燃料小売りはEV普及や価格変動の影響を受けやすい構造。
3銘柄に共通しているのは、「フィリピンにいたので名前を知っていた」という理由で選んだことです。知っているのと、企業を分析できるのは別の話でした。
ペソ安の影響
日本円に換算すると、ペソ安がダメージを増幅させています。以前は1PHP=3円台だった時期もあります。現在は約2.65円。為替だけで資産が目減りしている計算です。
5. 日本の米国インデックス投資と比較して
同じ期間に、同じ金額を eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)に投じていたら、どうなっていたか。
試算は難しいですが、S&P500は2015〜2026年の11年間でおおよそ3〜4倍になっています。UITF元本の466万PHP(当時の円換算で約1,400万円とします)を米国株に回していれば、現在4,200万〜5,600万円になっていた可能性があります。
UITFの現在評価額は約1,042万円。
差は、3,000万円以上。
この比較は残酷ですが、事実です。「現地にいたから現地投資が有利」は、完全に間違っていました。
6. それでもフィリピン投資に意味はあったか
金銭的なリターンだけで見れば、フィリピン投資は失敗でした。
ただ、意味がなかったとは思っていません。
現地口座を持った経験は、フィリピンの金融インフラを肌で理解することにつながりました。UITFの使い勝手、BPI Tradeの操作性、IPOの仕組み、ペソの動き。これらを実際に体験したことは、この先も資産として残ります。
生活体験としての価値もあります。マカティに7年いた経験、現地の物価感覚、フィリピン人との仕事や生活。投資のパフォーマンスとは切り離して、その時間は確かに豊かでした。
ただし、「現地経験があるから現地株が有利」は思い込みだった、という教訓も同時に残りました。
7. 今後どうするか
UITFについては、いったん解約を検討しています。含み損のまま持ち続ける根拠が、今のところ見当たりません。PSEの回復シナリオが描きにくい以上、損切りして日本の口座に資金を移す選択肢が現実的です。
個別株の3銘柄は、評価額が小さくなりすぎて、売却の手間対効果が薄い状態です。しばらくそのままにして、市場の動きを見ます。
新規での投資は行いません。フィリピンの口座は維持しつつ、投資は日本の証券口座(米国インデックス)に集約する方向で考えています。
まとめ
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| UITF含み損 | 約▲73万PHP(約▲193万円) |
| 個別株含み損(BPI Trade 3銘柄) | 約▲33万PHP(約▲87万円) |
| 合計含み損(BPI Trade分) | 約▲106万PHP(約▲281万円) |
| 投資期間 | 10年以上 |
BDO Securities側の3銘柄(C・MAXS・DMW)を含めた全ポジションの合計は約▲132万PHP(約▲350万円)。詳細は全損益一覧へ。
10年以上かけて、約350万円の含み損。
隠さず出しました。
同じような境遇の方、あるいはフィリピン投資を検討している方に、一つの実例として届けば十分です。投資は、現地にいるからといって有利になるとは限らない。それだけは、確信を持って言えます。
※この記事の数字は2026年6月時点の評価額をもとにしています。為替レートは1PHP=2.65円で換算しています。
※投資は自己責任でお願いします。
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